今回のコラムでは1万人以上のフォロワー数をもつ人気のきものインスタグラマーで、京都で着付け師やモデルなど多彩に活躍されている“あやみん”こと髙田彩美さんにインタビューしました。
とかく、堅苦しいイメージがつきまとう和装を自由に楽しむコツや、おすすめの装いなどについて、インスタグラマーならではの視点でざっくばらんに語っていただきました。
きものの虜(とりこ)になったのは「京都・ミスきもの合格」がきっかけ
私が強くきものに興味を持つきっかけとなったのは、大学3年生の時に見た「2014京都きものオーディション」のポスターです。
京都市内の寺院に生まれたので、幼い頃から身近にあったきものですが、私自身和装の基本知識はほぼゼロ。でも思い切って申し込んだところ合格をいただき、2014年の1年間、ミスきものとしてカジュアルからフォーマルまで、さまざまなきものを着て活動させていただきました。
以来、すっかりきものに魅了され、ミスきものの役目を終えた後もしばしば和装で大学に通っていました。
ミスきもの時代のあやみんさん(右)。京都きものパスポートのポスターにも登場いただきました。
コロナ禍で強まった大好きな「きもの」への想い
卒業後は東京で就職し、プライベートで友人と共にきもの姿でカフェへ行ったり、季節にちなんだきものコーディネートで食事へ行っては、写真をInstagramに投稿していました。
そんな最中にコロナ禍となって、自分が本当にやりたいことや将来について考える時間が増え、次第に大好きな和装の仕事がしたいという想いが強まっていきました。
2020年からInstagramで着付けの裏技やコーディネートの紹介、ヘアメイクのコツなどについて投稿を始め、その後京都に戻り、フリーランスで着付けの仕事や講師、和装モデルなどに携わるようになりました。
私がインスタを通じてお伝えしたいのは、シンプルに「きものってこんなに楽しいよ!」ということ。和装の楽しさや魅力を、私を通して少しでも感じ取っていただけたらと思って投稿しています。
大反響があった、振袖を一人で着る動画。
あやみんさんが思うきもののメリット、デメリットとは
私が思う和装のメリットは3つあります。
1つ目は、姿勢が良くなり所作振舞いが美しくなること。
2つ目は、永く着ることができること。母や祖母のきものを引き継いで着ることができるのもメリットですね。先人の想いも一緒にまとうようなイメージです。そこが圧倒的に洋服と違います。
3つ目は、コーディネートの楽しさです。きものは帯一つ、小物一つでガラッと印象が変わるのが特徴であり、面白いところ。オーソドックスにもモダンにも着ることができるので、洋服よりも装いの幅が広いと思います。
一方でデメリットも3つあげたいと思います。
1つ目は、夏は暑いこと。いくら薄い素材のものでも京都の夏は暑いです。
2つ目は、手入れに気を遣うところ。洗えるきものであれば自宅で洗濯できますが、そうでないものは専門のクリーニングに出さないといけない。
3つ目は、収納に場所をとること。
でもこのようなデメリットの反面、冬は暖かいですし、コーディネートで帽子や手袋を合わせることで寒さを防ぎながらおしゃれができるので、一石二鳥。
また、収納も畳んで、たとう紙に包んで箪笥にしまうのが一般的な収納方法ですが、私の場合は畳んだらさらにそれを3つ折りにしてオープンラックに重ねて置いています。普段からよく着るきものはたとう紙は使いません。
この方が見つけやすいし、出しやすく、しまいやすいです。「収納はこうでなければならない」というルールはないので、暮らしに合わせて工夫しています。
カラーコーディネートは3色を基本に
いつでも取り出しやすいようにオープンラックの手前に置いてあるお気に入りの1枚があります。Instagramのアイコン写真でも着ているえんじ色のきものです。
赤系は似合わないと思っていた時期もあったのですが、ミスきもの時代に真っ赤な振袖を着て、思いの外、顔色が明るく印象も良かったので、以来、赤系色のきものが好きになりました。
お気に入りの1枚で一般的なきものスタイル。
そのきものは、地色はえんじですが、全体にバラの花柄があしらわれた“小紋”のきもの。ブルー、グリーン、オレンジ色などが散りばめられたデザインです。こうしたいろんな色が入ったきものは、割と何でも合わせやすく重宝しています。
かと言って多色になると散漫な印象になるので、私は3色を意識しています。
必ず3色というわけではないのですが、例えば赤地のきものの柄に紺色が入っていたら、紺色の帯を合わせてみる。洋服のコーディネートならこの2色で終わりだと思うのですが、きものだとやや寂しいのでアクセントに大胆な色の帯揚げを差し色に入れる。すると一気に引き締まって、洗練された雰囲気がプラスされます。
主役の色を1つ決めるのもコツです。例えば今日は占いでラッキーカラーが黄色だったから黄色を主役にしてみよう、クリスマスだからグリーンを目立たせてみようとか。色を足すことばかり考えず、まず1色、主役を決めてからちょっとずつ小物を合わせていくんです。足し算よりも引き算のイメージです。
お気に入りの1枚で和洋ミックススタイル。
私は時々、半襟と足袋の色を同系色にすることがあります。そうするとシンプルなきものを着ていても襟元、足元のアクセントカラーが引き立ってくるんです。
そういう場合はたいていきものよりも襟元、足元が褒められます。ぜひ試していただきたいです。
続きは後編へ。
後編では、あやみんさんがおすすめする和洋ミックスコーデなどについて伺います。お楽しみに。
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