開園100周年を迎えた秋の京都府立植物園へ♪ きもの姿におススメのフォトスポット情報も。

2024.10.18

京都駅から地下鉄で約30分。京都市街北部に位置する京都府立植物園は、大正13年(1924)に開園した日本で最も古い公立植物園です。敷地は約24万㎡。甲子園球場およそ6個分の広大な敷地には、およそ1万2千種に及ぶ植物の展示・栽培が行われています。

 

正門を入った正面の花壇エリア。左奥には観覧温室。

 

今回のコラムでは「生きた植物の博物館」として100年にわたって府民に愛され続けている京都府立植物園の主な見どころを、きもの姿が映えるおすすめのフォトスポットも交えて紹介します。

10月1日から12月25日までは京都きものパスポート特典(入園料無料・観覧温室無料)もあるので、和装でお出かけを計画されている方もぜひ参考にしてください。

 

園内マップはこちら

 

 

園内唯一の自然林「なからぎの森」は紅葉の穴場

秋の京都と言えば嵐山をはじめとする各地の紅葉名所が沢山の人で賑わいますが、京都府立植物園内の「なからぎの森」は知る人ぞ知る名所の一つ。山城盆地太古の植生(しょくせい)が残る園内唯一の自然林で、エノキ、ムクノキなどの落葉樹の古木や、シロダモ、カゴノキ、シイ、カシなどの常緑樹が混生し、学術的にも貴重な森なのです。

 

森のほぼ中央にある「半木神社(なからぎじんじゃ)」は上賀茂神社の境外末社。園内の多くの木々が実を結ぶことにちなんで、試験合格や恋愛成就のご利益があると言われています。また、かつてこのあたりは養蚕がさかんであったため、織物の守護神としても尊崇を集めていたとか。和装ともご縁のあるお社のようです。

森を囲む大小4つの池の周囲にはカエデ類が多く、秋は美しい紅葉に包まれます。

 

観光地の喧騒から離れて、ゆったり紅葉を楽しみたい方におすすめ。

 

 

園のシンボルロード「くすのき並木」と比叡山を望む「ばら園」

正門の程近くから西へ向かって一直線に続く「くすのき並木」も見どころの一つ。開園当初の大正期からある約200mの並木道で、樹齢100年以上のクスノキ75本が大きく枝を広げ、京都市内唯一の「くすのき並木」でもあることから、ウェディングのフォトスポットとしても人気があります。また、川端康成の小説「古都」にも、「京都植物園の楠の並木」として幾度も登場します。

 

人気のフォトスポット「くすのき並木」

 

「くすのき並木」の南側に位置する「洋風庭園」には、約320品種、1400株のバラを植栽展示する「ばら園」があり、開花時期には他府県からも多くの人が訪れます。

 

人気は「スヴニール ドゥ アンネフランク」という古い品種で、イエロー、オレンジ、ピンクと美しいグラデーションの花びらが特徴。「アンネの日記」を書いたアンネ・フランクゆかりのバラで、2023年(令和5年)の人気投票でも堂々1位を獲得しました。

 

ほかにも黄色でやや小ぶりの「金閣」や、燃えるような朱色の「大文字」といった京都の地名や名所を花名としたバラも多数あります。

 

「ばら園」の奥に比叡山が見えます。

 

「ばら園」を訪れたらぜひ立ち寄っていただきたいのが「植物園会館」の2階テラスです。比叡山を借景にした「ばら園」の眺めは同園屈指と言われるビューポイントです。

 

植物園会館2階から望む「ばら園」。奥には比叡山。残念ながら取材時はバラは咲いていませんでした。

 

 

日本最大級の「観覧温室」とユニークな「きのこ文庫」

京都府立植物園で絶対に訪れて欲しいのが「観覧温室」です。外観は池に浮かんだ金閣寺と北山連峰のシルエットをモチーフにした優美な曲線が特徴で、温室入り口へと続く橋のアプローチが異世界へと誘ってくれます。

 

取材時、オオオニバスが直径2mほどの葉を浮かべていました。

 

延床面積約4,694㎡の屋内は8つの部屋に分かれ、熱帯だけでなく砂漠地帯や高山地帯など、異なる環境下で育つ植物を回遊しながら見ることができます。生育されている植物は約4500品種。日本初展示や初開花の植物のほか、絶滅危惧種とされる珍しい品種にも出合えます。

 

東南アジアなどに生息するサンタンカ(写真上)。昼夜逆転室で展示されている月下美人(写真下)。

 

鬱蒼としげるジャングル室。きもの姿でも写真映えするかも。

 

千年以上生きる「キソウテンガイ」や、お香で有名な「ビャクダン」、砲丸のような果実をつける「ホウガンノキ」、映画「サウンドオブミュージック」で有名となった「エーデルワイス」、普段はなかなか見ることができない食虫植物も多数植栽展示されています。段差のない順路なので、きもの姿でも歩きやすく、冬でも暖かいのも嬉しいところです。

 

象の耳のような葉をつけるファレノプシス ギガンテア。胡蝶蘭の仲間(写真上)。ブラジル原産のアラマンダ(写真下)

 

最後に、隠れたフォトスポットとしておすすめなのが、観覧温室の南側「未来くん広場」一角にある「きのこ文庫」です。ベニテングタケをモチーフにした4棟のきのこの姿を模した本棚で、それぞれ絵本などの図書が計2400冊納められ、来園者は自由に読むことができます。

 

2023年(令和5年)、この「きのこ文庫」にマイクロソフト創業者で、熱心な読書家であるビル・ゲイツ氏からサプライズで5冊の本が寄贈されました。日本のリトル・フリー・ライブラリー(町の小さな図書館)の中で唯一選ばれたことでも話題になったそうです。寄贈された本は同園の東にある京都府立京都学・歴彩館に展示されています。

 

いろんな色のきのこ文庫。棚にはぎっしり本が入っています。

 

京都府立植物園の主な見どころを紹介しましたが、もっと詳しく植物園のことを知りたいという方は、毎週土曜日13時から「土曜ミニミニガイド」が実施されています。7名以上の来園であれば「園内ガイドボランティア」(10日前までに要予約)による案内もあるのでチェックしてみてください。

 

また、この秋からは「バラ展」や「菊花展」を皮切りに、光、音、プロジェクションによって昼間とは異なる植物たちの多彩な表情を彩る「LIGHT CYCLES KYOTO(ライトサイクル キョウト)」(10月中旬から12月下旬)、「ポインセチア展」(12月)など、イベントも目白押し。10月1日から12月25日の間は京都きものパスポート特典で入園無料となりますので、来園はぜひきもの姿で!

※「LIGHT CYCLES KYOTO(ライトサイクル キョウト)」は高校生以上2,500円、小・中学生1,200円の料金が別途必要です。

 

 

現在、京都府立植物園の売店などで「京都府立植物園100周年記念風呂敷」が販売されています。同園を代表する10種の植物が染め抜かれたかわいいデザインで、きもの姿でのお出かけに活躍する1枚です。

 

京都きものパスポートでも、アンケートに回答いただいた方の中から抽選でこの「京都府立植物園100周年記念風呂敷」をプレゼント。アンケートは11月ごろからスタートします。WebサイトやSNSでお知らせしますので、フォローよろしくお願いします。

 

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【京都府立植物園】
住所/京都市左京区 下鴨半木町
アクセス/地下鉄「北山」駅下車3番出口すぐ。
電話/075-701-0141
Webサイト/https://www.pref.kyoto.jp/plant/
Instagram/https://www.instagram.com/kyoto_botagrdns/
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取材・撮影・writing/五島 望(京都きものパスポート事務局/ウーム総合企画事務所)